11. Hana

  今回の個展にお越しいただいて、思った以上に反響を呼んでいるのが
意外と言っては何だが、海の絵シリーズなのである。

自分としては、当初飾るつもりなど全くなくて、額装をしていなかったシリーズだった。
・・・が、周囲のススメ(漱石のススメではない)があって、とりあえず額装だけしてみることになり、
額装アドバイザーO氏の所へ後日母が持って行ってくれていた。
・・・ら、良い絵だと言われ(ちょっと嬉しくて)、急遽飾ることにした。
というわけで、本来メインとなるはずだったシルクロードの新作(男の子たちと人物スケッチ)はほとんどカット。(^^ゞ

というプロセスをたどって飾り付けにいたった今回の個展の事始め。
そしてここでご登場いただいたのが、Aご夫妻 である。
両親とこのお二方なしには、今だけ仕事もっち〜な私には個展開催は限りなく不可能に近いものだった。

そのAご夫妻の美しい娘さんが、何を隠そう高校時代のご学友Hanaちゃまなのである。
とっても優しいHanaちゃまは、現在オーストラリアに留学中。
その彼女のもとへ遊びに行って描いたのが、オーストラリアスケッチシリーズというわけだ。

スケッチツアーとは違い、なかなかのためだけに時間はとれないと思いきや、
心優しいHanaは、一緒に「あれだ〜!これだ〜!」と言いつつも、スケッチブックを黙って開かせてくれていた。
Hanaの友人たちとの楽しい出会い、Hanaとの旅で出会った人たち、とかく素敵な出会いが満載だった。

ちなみにイタリア人街シリーズは、彼女のバイト中に描いた作品である。
さらに二人で、シドニーからゴールドコーストへ飛び、タンガルーマという島へも足を運んだ。
そこで描いたのが、シリーズであり、椰子の木シリーズだったりするのである。

決して大作とは言えないし、むしろHanaと一緒のほんの束の間の時間を使っただけのスケッチ。
Hanaがシュノーケリングをしている間に描いた揺れる揺れる船からスケッチ。
Hanaが起きる前にこそっと起きて描いた目覚ましが鳴るまでよ タイムリミット スケッチ。
Hanaがシャワーに入っているときに描いた大急ぎスケッチ。

どんなに時間は短くても・・・・・とっても楽しかったのがこのスケッチだった。
描いているとき、Hanaがいる安心感がいつもそばにあって、何も考えずにとにかく楽しく描いたスケッチ。
自分としても人に見せるつもりなしにHanaとの旅を描いた、単純なスケッチで十分だった。
その絵をみんなが見て「これいいねぇ〜!」と言ってくれるのが、やっぱり何よりとっても嬉しい
もしかしたら、Hanaとすごした時間の安心感やあったかい気持ちが絵に表れたのか!?

Hanaという人は、私をすっぽり包んでほっとさせてくれる人なのだ。
そんなHanaの絵は、ポストカードにして、個展の人物ポストカードのど真ん中に飾らせていただいた。
本人は、そんなこととは露知らず、卒業前のバカンスを使って今頃ケアンズでバイトに励んでいるだろう。

彼女の原画はどこにあるって?もちろん、我が家のとある場所に保管してござる。
彼女はポニーテールは振り向かない。伊藤かずえに瓜二つ・・・三つ。

とにかく、彼女のおかげでスケッチができ、彼女のご両親のおかげで個展ができあがった。
ん?これは、【 大窪淑絵 スケッチ展 〜蝶と旅と出会いの日〜 】ならぬ、
【 A家とHanaと大窪淑絵 出会って旅のスケッチ展!? 】なのかもしれない。


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