1.ムソルグスキー


  むかぁ〜しむかしの幼少時。それはまだ小学校に上がる前だった。
朝になっても忘れられない恐怖でいっぱいの「追われる夢」。
走っても走っても影のような何者かが追ってくる、迫ってくる!ひぇ〜っ!ヽ(。><)ノ

起きて夢だったと安心したはずなのに、まだやっぱり夢か現か頭が混乱していた割りに、
はっきり覚えていたのはその夢にかかっていたBGMだった。
子供のくせに、夢にBGMとは生意気かもしれないが、かかってたんだからしょうがない。

その曲は、一体どこで聴いて知っていたものなのか、何故そのときの夢の背景に使われたのかは
未だに謎ではあるが、強烈に印象に残っていたのは事実。
いつまでたってもその曲が頭の中をぐるぐる回り、あまりにも自分の脳みそと一体化してしまったせいか、
怖くて早く忘れたいはずなのに、どうしても自分にとって気になる存在的音楽となっていた。

そしてそれから数年。そろそろ脳みその片隅からその曲が消えかけていた頃。
なんとそれがテレビから流れてくるもんだから私はもうびっくり仰天!
テレビの前で立ったまま一瞬固まったのを今でもはっきり覚えている。やっぱり現実に存在した音楽だったのだ。
もちろん、すかさず曲名をチェックしたのは言うまでもない。

 その曲の名は・・・。はげ、はげ、はげ!?・・・そう!管絃楽曲「禿山の一夜」。
作曲者はムソルグスキー。
(※本当の作者は リムスキー=コルサコフ なのですが、ムソルグスキーが改作した後に有名になりました。)

 それからの私は小学生の癖にムソルグスキーにもう夢中。いや〜んっ!
そう、たのきんトリオやシブガキ隊、チェッカーズとともに・・・。あらま!年代バレバレ!(^m^)

 追いかけて始めて知るムソルグスキーにはもっと素敵な曲が沢山あった。
その中でも「展覧会の絵」は、一度聴いたら誰しもが「おぉ〜っ!」とうなるであろう有名なあの一曲であり、
私の中では勝手にマイ・テーマソングになってしまった。
いつでもどこでも♪タンタンタ〜ン、タタタ〜ン、タタタ〜ン、タン、タン、タン、タン♪ と脳みその中をぐるぐるぐるぐる。
その後、中学になってからはCDを購入したり、ピアノ用の楽譜を買ってみたり。 (← 買っただけかい!)

 「展覧会の絵」というその曲は、ムソルグスキーが友人の画家ハルトマンの遺作展覧会の印象を描いたピアノ組曲。
聴いたことがある人も多かろう。知らないぜ!というそこのあなた、ぜひぜひ一度聴いてみる価値は十分。かなりおすすめなのだ。

 そして今、その頃はまだ全く絵を描いたことも描く夢すらもさらさらなかった私にとって、初めて現実味を帯びてきた「展覧会の絵」。
いつか個展を開いたら、BGMにかけてみたいと思ったくらいにしたりして。
・・・というわけで、今もって大切な一曲となったのである。

 思えば、潜在意識が「展覧会の絵」に導くために、「禿山の一夜」で私を追いかけていたに違いない。
必死になって逃げてしまった私は、永沢まこと先生の絵を愛する情熱と西村淳子先生の音楽のような絵の魅力によって
あれからウン十年たった今、とうとう絵の世界につかまってしまったのだ。
捕まえてくれた先生にはもちろん最大に感謝である。これで逃れる恐怖から救われたのだ。

 あぁ、ムソルグスキーよ、あなたは私の永遠の恋人であり、私の人生の指導者なり。(←大げさだっちゅうに!)

 夢を見て、聴いて、そして忘れてベートーベンやショパンやバッハやモーツアルト、etc.
色んな作曲家たちに惹かれ、恋して心変わりしてみたりもしたけれど、今でもやっぱり忘れられなかったのだ。大好きな彼。
あぁ、愛しのムソルグスキー。これからも色んな曲に恋するけれど、永遠にあなたを愛し続けます。


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